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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(オ)1146号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人補正上告理由第一点(上告理由第二項)について。

借家法七条に基づく家賃増減の請求は形成的効力を有し、請求者の一方的意思表示が相手方に到達したときに同条所定の理由が存するときは、賃料は以後相当額に増減せられたものと解すべきものであるから、この場合の相手方の承諾等を云々する所論は採用できない。

同第二点(右第三項)について。

家賃統制額が月額一〇一六円である場合、月額一五〇〇円への家賃増額請求につき、右統制額を家賃の相当額として右統制額までの増額の効果を認めることは、地代家賃統制令三条に違反するものでなく、むしろその趣旨にかなうものと解せられるから、所論は採用に値しない。

同第三点(右第四項)および第四点(右第五項)について。

所論は、原審認定に反する事実あるいは原審認定に副わぬ事実を主張するものであつて、いずれも上告適法の理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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